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2016年03月21日

回復するということ

なにかが治っていく過程というのは、見ていて楽しい。
季節が変わるのに似ている。
季節は、決してよりよく変わったりしない。
ただ成り行きみたいに、葉が落ちたり茂ったり、
空が青くなったり高くなったりするだけだ。
そういうのに似ている、
この世の終わりかと思うくらいに気分が悪くて、
その状態が少しづつ変わっていく時、
別にいいことが起こっているわけではないのに、
なにかの偉大な力を感じる。
突然食べ物がおいしく感じられたり、
ふと気づいたら寝苦しいのがなくなっていたりするのは
よく考えてみると不思議なことだ。
苦しみはやってきたのと同じ道のりで淡々と去っていく。

(よしもとばなな「ハネムーン」より)

「熱いなあ、しんどいなーと思いながらヨサが終わって、そのあと施術を受けてるうちに、ああ、ずっと最初から音楽が小さい音で流れてたんだなーって気づいて、またしばらくしてどこからか花の香りがしてきて、ああ、水仙が部屋のどこかに生けてあるんだな、ってやっと気がついて…。

わたし、いろんなことを刺激としてずっとシャットアウトして生活してたんだな、それぐらい疲れてたんだなって、初めて気がつきました。」

週末、泣くのをがまんしているような眼でおいでになった方のひとこと。ほっとしたお顔になって帰って行かれてよかった。

からだのなかの季節がかわっていくのをそっと一緒に眺めて喜べるような、静かな介入ができていたらいいなと思う。
こういう時いつも思い出す、ばななさんの本の一説。

投稿者 あつこ : 2016年03月21日 20:45

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